満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第36章 血鬼術を解いてよ宇髄さん1※
「…つまりそれは同衾したら助かる、と」
「えぇ。つまりそういうことです」
話が早くて助かります。
そう言って胡蝶は菫色の瞳を揺らした。
胡蝶の話を聞くと、
鬼に遭遇した波奈は、男の異形の鬼の血鬼術にあう。
それが同衾しないと死ぬ血鬼術らしい。
波奈はまだ15の子どもであり、恋人も居なければ好いた人もいない。
鬼の首はまだ切っておらず、その波奈の相手は何かあれば対処できる鬼殺隊が好ましい。
その相手を俺に頼みたいとのことだった。
「…なんで俺なんだよ」
「宇髄さんは柱で何か起きたときにすぐに対処できます。
それに元忍で閨事にはお詳しいでしょう?」
「なんだその偏見は。まあ否定はしないが」
「それに宇髄さんは奥様がいらっしゃいます」
「既婚者だと都合が良いのか」
「えぇ。真具合によって波奈のことを本気で好きになられたら困りますから。その点については安心です」
まあ、たしかに。
胡蝶が俺を指名するのにも合点がいく。
「ーーーあぁ。わかった。引き受ける。
でも俺は今日も夜から任務だ。時間がねぇ」
「承知してます。なるべく早くがいいですが、あなたにお任せします」
ほっとしたような胡蝶の顔が伺える。先程までのピリピリした空気は、波奈を心配してのことだろう。
「頼みますよ、宇髄さん」
そう言って真剣な眼差しで、菫色は見つめた。