満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第34章 くらし、始まる※《宇髄天元》
障子から朝の淡い日差しが透けている。
埃がそれに照らされて、きらきらして、波奈は初めてそれを美しいと感じた。
ふと横を見ると、目を開けた男とぱっちり目があった。
赤い宝石のような隻眼側の薄い目も、銀色の髪の色も、綺麗だった。
裸で筋肉をあしげもなく放り出しているので、昨夜の行為を瞬時に思い出して、しゅわしゅわと溶けるように赤くなり、布団に逃げ込んだ。
「おい…、なあに隠れてんだ」
くつくつと面白そうに笑いながら、ばさりと布団を剥がされる。
波奈は昨日、どうやって寝巻きを着たのだろうか、帯はしていなかったために、胸やらなにやらが丸見えで、慌ててそれを隠した。
「身体は痛いところはないか」
「…っ…い、いたい、です。すっごく」
照れ隠しに大袈裟に言ってみると、予想外にも宇髄は心配して身体を引き寄せた。
「あーー…派手に血ぃでてたからなー…」
「えっ?!血?」
「まあ、仕方ない。俺のでけーから」
「…」
股の方の布団を見るとたしかに血が出ていたようで、ふらりと眩暈がした。こわすぎる。
怯える波奈に宇髄はそっと抱き寄せ、波奈は宇髄の胸に収まった。
「…はあーーー…長かったなぁ。よく待てたな、俺。
褒め称えてくれよ」
そう言い苦笑する宇髄をきょとと見上げる。
「そ…そうなん、ですか」
「そうなんですかて。わかってねえな、男心が。
ようやく捕まえたわ」
ぎゅう、と強く握られ苦しい。嫌ではないのだけど。
一線をようやく越えれたことが、なにやら特別なことではあるらしい。
長生きするぞ。2人で。
そう言い宇髄は気持ち良さげに2度目の眠りにつく。
まあこれからも、仲良く夫婦で暮らしていきましょうか。
おわり