満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第34章 くらし、始まる※《宇髄天元》
…今日、ここに泊まるんだよね。
今日だけではなく、これからずっと。
風呂好きで体格が大きい宇髄に相応しい立派な湯処だった。
波奈は湯浴み中、膝を抱えてこの事実を考えた。
お嫁さん。宇髄さんの。夫婦。
…するんだろうか。今日は。
波奈はぶくぶくと湯の中に頭を沈めた。
少しの不安と恐れを感じてしまう。
なにせ波奈は、男性経験がなかった。
この裸を見られるのか。
痩せていて、貧相で、胸なんて厚みはない。
子どもみたいな身体だ。
波奈は情けなくて泣きそうになった。
波奈は13の頃に鬼により両親兄弟すべて殺されたショックから、それ以来身体はほんの少ししか成長していない。
少しずつ成長しだしたのは、しのぶさんに拾って貰ってようやく医療人として自立した頃で、
しかし、最終決戦後、また自分の身体の成長は止まってしまった。
月のモノも、ピタリと止んだ。
こんな未発達で未成熟のわたしで、彼はきっとがっかりするんじゃないか。
…そうすればまた、蝶屋敷に帰ればいい。
『しかたないですねえ』
と笑う蟲柱、しのぶさんの、困ったような優しい笑顔で、きっとそう言ってくれるに違いないのだろう。と波奈は思った。