満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第33章 媚薬50本飲まないと出れない部屋※《宇髄天元》
【媚薬を50本飲まないと出れない部屋】
と書かれた文字に、小さな小瓶が50本。
部屋の真ん中にポツンと置いてある。
初めにこれを読み、なるほど確かに奇妙な血鬼術だとは思ったが、ド変態の鬼が用意したものを飲む気にはそうならなかったし、波奈も宇髄もこの存在を無視していた。
しかしこの媚薬が入ってあろう50本の小瓶を飲みさえすれば、外には出れるのだ。
宇髄は小瓶を持って蓋を開け、匂いを嗅いだ。
「ーー媚薬、ねえ…」
「う、宇髄さん本気ですか?そんなの飲む必要なんてないです!」
波奈は慌てて宇髄の腕を取り制止する。
気の乗るものではなかったが、やめるつもりは無かった。
くんくんと匂いを嗅ぐが、それが媚薬であるのかどのような効果が出るのか、ましてや毒であるのかはわからない。ただ、宇髄は元忍びであり、その経験から媚薬を使わせたこともあるし、毒にはまあまあ耐性もある。
そのままクイ、と一気に飲み込んだ。
「あぁあ?!宇髄さん…っ!」
波奈が慌てるが既に遅く、媚薬は一本宇髄の喉を通り過ぎた。
「だ、大丈夫ですか…?」
じわりと涙が浮かんだ波奈。宇髄はハッとその涙に驚く。
「大丈夫に決まってんだろ。誰だと思ってんだよ。余裕だっての」
波奈を落ち着かせるように、小さな子どもをあやすようにポンと頭を撫でる。
しかし波奈はおろおろと心配しながら様子を伺う。
宇髄はそんな心配性な波奈を見てクク、と笑いが込み上げてきた。…少し意地悪をしてみようか。
「もし媚薬の効果でどうしようもなくお前に迫ったら俺を助けてくれんだろーな?ん?」
笑いながら波奈の顔を覗き込んだ。
すると波奈は、一瞬固まってしまう。
「ーーーえ、…」
そのあと、かああああ、と波奈の顔が燃えるように赤くなってしまった。
「え、?、あ、は、はい!そのときは、わたしができることであれば、…っっ」
「…冗談に決まってんだろアホ」
驚いた。まさかあんなに真っ赤になってしまうなんて。