満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第33章 媚薬50本飲まないと出れない部屋※《宇髄天元》
伝令はいつも突然で、この日は柱の宇髄天元のみの単独任務であった。
なんとも妙でやっかいな血鬼術を使うとの報告が次々と浮かび上がっているらしいが、術を使われるより早く鬼を仕留めればいいだけのこと。
鬼殺隊最高位の柱の中では最速の俺だ、全然余裕だなと鴉の伝令に従い林の中へと急ぐ。
鬼の気配の音を頼りに神経を研ぎ澄ませる。
鬼の姿を探し出すのには、あまり時間はかからなかった。
「音の呼吸ーーー」
二刀流の刀を手に取りスゥ、と呼吸を使う。
鬼の姿は異形で、涎をだらだらと垂らした気持ち悪い容姿をした鬼で、一刻も早く抹殺しようと刀を振りかざした。
鬼がこちらを見つめパチンと目が合う。シィイイ、と笑いながら、首を仕留めパックリ割れたところからザラザラと消えていく。
「……は?え?よっわ!雑魚かよ」
消えゆく鬼を見つめながら宇髄の気は完全に抜けたーーーはずであった。
「ーーー?!」
白い閃光のようなものが走り、吹き飛ばされるような感覚になり、グッと足に力を入れた。
目を慌てて開けて辺りを見ると、林の中であったはずなのに、天井も壁も床も白く狭い部屋のなかであった。鬼の気配は消えている。
「…う、うずいさん…っ」
バッと名を呼ばれた方を向くと、怯えて震えている少女が立っていた。宇髄を見て少しは安心したのか、ほっとしたような顔であった。
「おまっ…何してんだ!」
その少女を見て混乱する。蝶屋敷にて働くこの女が、なぜにこんなところで…
というか、林の中にいたというのにここは一体どこだ。
四方白い箱に入れられたみたいだ。
これがあの妙な血鬼術なのだろうか。
焦る気持ちを抑えて波奈を見やると、波奈は
それが…と話し出した。