満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第31章 答えはでない《不死川実弥》
「…は、はい、では、」
そう言って、波奈は不死川よりも小さな背を埋めるために、不死川の肩に手をついて顔を近づけた。
不死川はさらに目を固く閉じて、唇の覚悟を決めた。
ちゅ、と小さな音がして、
波奈がゆっくりと離れていく。
……ほっぺかよ
ガク、と拍子抜けだ不死川は目を開けて、波奈を見据えた。
「……満足かァ」
「はっはい…♡満足です♡」
と真っ赤な顔と蕩けた顔でそう言った。
「先生、ありがとう」
「……あァ」
「大好き、先生」
にこぉっと笑って、残りのコーヒーを飲み干した。
それからすくっと立ち上がって、
「帰ります!さようなら!」
と言ってさぞやすっきりしたような、吹っ切れたような顔をして、元気よく帰っていった。
「……さよーならァ…」
返事を返したが、聞こえているかは不明だった。
波奈がいなくなった数学準備室で、不死川は火照る顔を抑える。
「…俺は満足してねェんだけど」
あぁあ…
と悶絶する。
卒業まであとーーー。
果たして俺は耐えれるのか?
誰か教えてくれ。
終わり