満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第28章 望みとあれば※【宇髄天元】
「……なあ、縛ってもいい?」
「………へ?」
恋人の宇髄天元の、獲物を捕らえたようなギラついた赤い瞳は、真っ直ぐと波奈を見下ろしていた。
布団に入ってから、30分以上かけて蕩けるようなキスを幾度となく繰り返されて、もう脳内はとろとろにふやけていた。
先程の宇髄の言葉がぐるぐると、そんな蕩けた頭の中で駆け巡り、思わず変な声で聞き直した。
「…えと、…あの、…え、しば、る?」
「いや?」
波奈はもう宇髄の手によっていつの間にか素っ裸だった。
何度も何度も何度も口づけを交わして、舌も絡め合い、着ていた寝巻きを脱がされ、さあこれからまぐわい愛を交わそうとしてときだった。
甘えたような、そんな恋人の顔に、とくんと心臓が高鳴った。
「…や、とかじゃないですけど、…あの、はい、いい、ですよ」
「そう」
恥じらいながら承諾すると、宇髄は目を細めて愛おしそうに波奈を見つめた。
それから宇髄は波奈の両手首を、片手で優しく手に取って、スリ…と撫でた後、その手首にチュ、とキスを落とした。
それから波奈の寝巻きの帯を手に取って、シュルシュルと波奈の両手首を巻いていく。
「……」
波奈は黙って大人しくその様子を見つめていた。
宇髄は器用に、素早く帯をギュ…っと外れないように、しかし波奈が痛がらないように絶妙な力加減で縛りつけた。
帯で拘束されたその両手首をぐいんと頭上へと持ち上げ、波奈の全身をじっくりと見据える。
「…っ」
その視線でカアアアと顔中首まで真っ赤になった。
何度も見られている身体なのに、両手を拘束されているだけで、いつにもなく羞恥心が駆け巡る。
もじ…っと身体が蠢いたのを宇髄は見逃すはずはなく、ふ、と面白そうに口角を上げた。
「…いいな、なんか、くる」
「そっ…デスカ」
昂奮したようにハア、とため息を吐かれ、波奈はいたたまれずに宇髄から目を逸らした。