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満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第27章 乾杯の夜の秘密※【宇髄天元】


「で?今日はどこへ行く?」

ガチャリと家の玄関のドアに鍵をかける。

「えーと、…駅前のスーパーが特売日でお米が安くて、Aのスーパーがお肉が安くて、Bは日用品が今日は安かったから、」

「よし!片っ端からまわるぞ」

「わーい!」

るん♩と語尾を弾ませるご機嫌の良い彼女を横目で見る。
と、波奈は視線の先にハッとしたこわばる表情をした。

「こんにちは、お出かけですか?」

そう声をかけたのは隣の住民で、派手な化粧で、ヒールをカツッと鳴らしながらこちらに向けて声をかけている。

「こんにちは!はい、そうです。買い物に」

波奈はにこりと笑いながそう答えた。

「仲良いんですね!」

チラッと俺の方を見る女にぺこっと頭を下げた。
…あ、この女見たことあるぞ、たしか名前がミナグチさん。

「ええ。仲良くさせてもらってます。俺の可愛くて自慢の彼女なので」

そう言って波奈の肩をグッと引き寄せる。
波奈は動揺でカチカチに固まった。

「…彼女?」

ミナグチさんの鋭い視線が波奈にぶち当たっている。波奈は下を向いてしまった。

「…そうですか。では、失礼します」

ミナグチさんはペコっと頭を下げて自分の部屋へと消えていった。









宇髄さんはいつでも言って欲しいことをしてくれる。
優しくて、気がきいていて、なんて素敵なんだろう。
波奈は嬉しくてギュッと宇髄さんの手を握った。

「…めずらしーな、お前から手を繋いでくれるなんざ」

「…たまには、そういうこともします」

「…たまに、ね」

宇髄さんはまたくつくつと笑った。







彼女は知らない。定期的に俺が波奈を酔わせて、波奈の常日頃の不満や想いを、心の内を、聞いていることに。
俺に抱かれながら、自分の想いをさらけ出しているなんざ、彼女は知らない。

もしこのことに気づくと、波奈はもうお酒はセーブするだろうし、そうなるとあの可愛い酔っ払いを見ることはできないだろう。
わりーな、波奈。これは俺だけの秘密だ。




終わり

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