満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第26章 寝不足の彼女※ 【宇髄天元】
先程すやすやと眠っていた男、宇髄天元さんは、わたしの恋人で、そして出会ったときはわたしの高校の美術担当教諭だった。
卒業後にようやくきちんと付き合って、すぐに同棲を開始して、もうすぐ半年が経とうとしている。
まだ残暑の厳しい9月。宇髄さんの勤めている学校は新学期が始まり、そしてわたしは大学生で、まだ夏休みでアルバイトもあるが時間には余裕がある。身体にも精神的にも余裕があるはずなのだが、身体の節々は痛いしおまけに寝不足で、今も欠伸が絶え間ない。
原因は分かりきっていることで、連日宇髄さんにヘトヘトになるまで抱かれているからだ。
わたしと宇髄さんが、紆余曲折あってようやく一線を越えてからは、宇髄さんは隙あらばスキンシップを取るようになった。
ベッドの上ではもちろん、この間はお風呂に入ってたらいきなり入ってきて襲われ、あとは帰ってくるなり玄関で襲われたし、ソファーでくつろいでいると絶対に襲われる。
まるで今までの我慢をいっきに爆発するみたいに、鎖がとれた猛獣みたいにズコバコズコバコ…!
宇髄さん、わたし、
ちょっともう本気で休みたい…!!
思い出して赤面し、半泣きになる気持ちを抑え、宇髄さんのお弁当を作り上げていく。昨日美味しいと言ってくれた唐揚げと、玉子焼きとブロッコリーのサラダ。彩りでプチトマトを添えればすぐに完成した。
するとガチャ、と寝室のドアが開く音が聞こえる。
宇髄さん、起きたのかな?
「…はよ」
「おはようございま…きゃああああ!」
「…うるっせーなあ」
「ふ、ふく!服を着てくださいい!」
お弁当を冷ますために団扇でパタパタ仰いで、お弁当を丁寧に包んでいると、宇髄さんがキッチンに入り冷蔵庫を開けているときだった。背後から聞こえた声に振り向くと、目の前には下着1枚の宇髄さんがいるではないですか。
筋肉美が視界に広がる。
慌てて目を逸らして騒ぎ立てると、宇髄さんはくつくつ笑いながら楽しげにコップに水を注いでる。
「おまえさー、昨日散々俺の裸見ただろうが」
「それとこれとは違うんですってば!」
「はいはい」
そう適当に返事し、水を飲んでから洗面所に消えていく。
ほんっと心臓に悪いよ。勘弁してください。
ため息を吐いて、朝食をダイニングテーブルに運んだ。