満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第24章 彼の欲しいものは※【宇髄天元】
「宇髄さん、誕生日何か欲しいものありますか?」
「お前の全て」
「いやだから、」
もう!その答え何回目?
目の前で晩御飯のお味噌汁をずずっと飲みながら即答した宇髄さんを、じとっと恨めしげに見つめた。
「そうじゃなくてですね、例えばモノとかだったら嬉しいんですけど」
「モノ?んー、ねーな!それよりもこれうまいね」
「ありがとうございます!一晩漬け込んだからかな?」
軽やかに夕飯の鯖の西京焼きを褒めてくれて、ほわっと嬉しくなる。って違う違う!今、もうすぐ訪れる宇髄さんの28歳の誕生日プレゼントのリサーチをしていたところだ。
ここ1ヶ月ぐらい、宇髄さんの誕生日プレゼントを何にしようか頭を抱えている。何が欲しいと聞いても、答えはいつもこんな感じだ。
「お前が欲しい」「お前の全部が欲しい」、と。
初めそう言われたときは赤面したが、こう何回も言われると、恥ずかしくなるよりも呆れてきて、あーはいはいそうですかと適当に流すようになった。
「じゃあ何が食べたいですか?なんでも作ります!」
「お前が作る飯はなんでも美味いよ」
「え〜〜…」
「んだよ、この筑前煮もうまい」
「あ、それちょっと薄味にしてお父さんにお裾分けしときましたよ」
「お父さん?」
「お父さん」
「誰の」
「宇髄さん」
「おまっ…何勝手に」
してくれてんだ、と呆れる宇髄さんに、波奈はふふっと笑った。宇髄さんと宇髄さんのお父さんは、お互い何故か頑固ですれ違ってはいるけど、宇髄さんのお父さんは宇髄さんのことを何かと気にかけているのを、わたしは知っている。
わたしを通して、宇髄さんの様子をどことなく聞いてきたりするのだ。
「…ほんっとお前は…嫁感でてきたよな」
「ぶっ、よ、よめ?」
すすっていたお味噌汁を吹き出しそうになってしまった。
あわてて口を拭う。
「ご、ごめんなさい、そんなつもりはなくて、」
ぶあっと顔が熱くなるのを感じる。
「ばーか、ド派手に嬉しいわ」
「…」
しゅー、と熱くなってしまったのを、なんとか抑えようとする。
そんなわたしをよそに、ぱくぱくとご飯を食べている。
え…と、なんの話でしたっけ。
宇髄さんへの誕生日プレゼントの話は、こんな感じでいつも明確な答えは出ないままである。