満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第18章 宇髄先生とわたし -出会と恋慕- 前編
「せ、せんせえ…」
真っ赤な顔をした波奈が、声を絞り出し名前を呼ぶ。
宇髄先生はそっと波奈の背中から手を離し、その手は波奈の肩へと移動して、そっと波奈を解放する。
その瞳はまだ熱を含んでいるーーーが、すぐにいつも通りの宇髄先生に戻るかのように、にかっと笑った。
「こえーね、雷!俺も嫌い」
「そそそうなんですか…」まだ胸がバクバク鳴っている波奈は目をぐるぐるさせてなんとか返答した。
「んじゃ帰ろ」
「自分で帰れますよ?」
「だーめ。もう真っ暗じゃん。鬼でたらどーすんだ」
「鬼?」
ふふっと波奈は笑うが、宇髄先生は少し、ほんの少し真剣な眼差しだった。