満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第18章 宇髄先生とわたし -出会と恋慕- 前編
その赤い綺麗な目に、カッと顔を熱くさせてしまった。
「これはお祭りの花火ですか?」
慌ててまたキャンパスに視線を戻して質問した。
「んー?それは忘れたなあ」
「この花火、なんか見たことあるような」
って花火はどこも同じようなものですよね、言おうとしたが、宇髄先生があまりにも波奈を凝視するような、食い入るような目で見つめてきたので少し驚いた。
「宇髄先生…?」
「ーーーー波奈、おまえ…」
キーンコーン。
何かを言いかけた宇髄先生は、チャイムによりその先をかき消された。
「…先生、何か言いかけた?」
「…いや、いい。美術担当はお前に決定だからな、これからもよろしく」
「え、」
「なんだその顔は。ド下手なくせに」
「あ、あれでも真剣に描いてるんです!」
「はいはい、予鈴なったからはよいけ」
シシっと手を振られたので、むーと波奈は顔を膨らませながら、美術準備室のドアノブを握った。
「変わんないね、ほんと」
ポツリと言ったその言葉の意味を波奈は理解できず、宇髄先生に聞こうとしたけど、宇髄先生は真剣にキャンパスに向かっていて、聞けなかった。
ーーーていうか、わたしのこと波奈って。
距離感近すぎるでしょ、先生。
はあとため息を吐いて、美術準備室を後にした。