満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第16章 理性と欲情の狭間で※【宇髄天元】
鴉の伝令により、
妙な血鬼術を使う鬼だという情報を聞き、
鬼の音を頼りに真夜中の林の中へ。
さらに林の奥へと入ると、その鬼の気配の音が微かに近づいてくる。音柱、宇髄天元は、さらに足の速度を早め、一気にそこへ向かった。
「おい」
見つけた。姿は自分の倍ほどの大きさの、気持ちが悪い図体の鬼。
低い声で声をかけると、くるりとこちらを向いた。
背中の刀に手を伸ばし、チャリっと刀をつなぐ鎖の音が鳴る。
「きもちわりーやつ。妙な血鬼術を使うのはお前のことか」
鬼はニタっと笑う。
が、その瞬間、光のような速さで宇髄は刀を振りかざし、鬼の首を一瞬にして射止めた。
「ーーー地味か」
呆れるほど弱い。
ハア、と宇髄はため息をつき、バラバラと散っていく鬼を薄目で見つめた。
ふと横を見ると、草陰に誰か倒れている。
「?!おい!」
慌てて宇髄はそばへ駆け寄り、抱き起こした。