満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第14章 天元様は呼ばれたい※《宇髄天元》
ふわっと爽やかな風が吹き抜けると、波奈の持つ大きめの白いシーツがなびく。
器用にそれを洗濯竿にかけて、しわをのばして風で飛ばないように固定する。今日は良い天気なので、洗濯の量も多い。
宇髄は縁側に片足だけをあぐらをかくような形で座りながら、洗濯を忙しそうにせっせとする波奈の後ろ姿を見据える。
しっとりと美しい黒髪は、ひとまとめに束ねていて、少し後毛がぴょこっと飛び出している。
首筋は白くて細い。背中から腰に向かって、華奢でほっそりとしているが、なだらかに女性らしい身体付き。白衣のワンピースから覗く白く細い足首。
宇髄は波奈の後ろ姿をじっと眺めていた。
ら、くるっと波奈がこちらを振り向いて、ムッと怒ったような顔をした。
「…いつまで見てるんですか」
宇髄は急に振り向いた波奈に、少々驚いてしまった。
波奈のその顔は怒ってるようで照れてるようで、宇髄はククっと笑ってしまった。
「可愛い妻の顔を見てちゃわりーかよ」
「…なんか恥ずかしいです」
「あっそう。ほんじゃあそろそろ行こーかね」
フーと息を吐きながら、立ち上がる。
本日、蝶屋敷に少し用事があった宇髄は、蝶屋敷にて働く妻の波奈を見かけた。が、忙しそうにしていたのであまり構えず、縁側に腰を下ろしてその様子を眺めていた。
ま、こっちもあまり長居はできない。夕刻から鬼狩り勤務である。