満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第10章 ふたりの朝日※《宇髄天元》
隊士の怪我の治療が済み、隊士の状態を細かくカルテに記す。
気づけば日が暮れ始め、夕日が部屋に差し込む。
ようやく落ち着いた。
昼間はやっと会えた恋人のことを、少し邪険にしてしまったな、
会えて嬉しかったのに、と
波奈はハア、と息をついた。
「終わったか?」
「きゃあああ!」
「派手に驚きすぎ」
「宇髄さんっ…!気配消さないでくださいよ!」
シャランと額当ての宝石を鳴らしながら、机に向かって座っている波奈を上から覗き込んだ。
とうに家に帰っていると思ったが、まだ蝶屋敷にいてたのか!
波奈は呆れる気持ちより、嬉しい気持ちがじわと湧き上がった。
「なあー?波奈。昼間言った明日一泊で出かけること、考えたか?」
「それは…」
「明日迎えに来るから準備しとけ」
「でも…」
あーうー…と煮え切らない返事をする波奈に、
宇髄はパン!と両手で波奈の顔を挟むようにほっぺをぐにぐにした。
「いひゃい…」
「…」
急に波奈を黙って見つめる宇髄に、波奈はドキ、と胸が鳴った。