満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第7章 しんぱいごと※《煉獄杏寿郎》
午後10時過ぎ。
午後6時から始まった飲み会は、気づけばもう10時をまわるころだった。ようやく飲み会から解放されて、家路に着く。
はあ、とため息を着きながらガチャと鍵を開けて、玄関を見やると、
ーーー杏寿郎さん?
あれ?今日は来るって言ってなかったけど…。
いつもなら事前に来るなら来ると連絡をくれる律儀な恋人の靴が、玄関にある。
リビングには灯りがともっている。
「…おかえり。遅かったな」
「ただいまです!来てたんですね!」
杏寿郎は、ソファーで頬杖をつきながら本を読んでいて、帰ってきた波奈を見ると、本から目線を上げて声をかけた。
「どうしたんですか?今日は宇髄さんと夕飯を食べるって言ってたので、こちらには来ないと思ってました」
「ーーーあぁ。まあ。君は?サークルの女子会、楽しめたか?」
「…あーー…はい。まあ」
へへ、と笑いながら、着ていたコートを脱いだり、腕時計を外したり、鞄をしまったりといそいそと忙しく動く波奈。
ここ、波奈が住む狭いワンルームは、大学が近い。
いよいよ大学も忙しくなってきたので、ついに一人暮らしを始めた。学生向きの賃貸マンション。
杏寿郎と家で会うときは、いつも杏寿郎のマンションだった。というのも杏寿郎の部屋の方が広いし、防音設備もあるし。
なので、こうやって、部屋に杏寿郎がいるのは、なんだかとても新鮮である。