第1章 出会いの日
ここはどこなんだろう。
真っ暗で何も見えない、体も重たくて力が入らない。
でも、どんどん体が沈んでいくのがわかる。
このままどうなっちゃうんだろう。
動きもしない体に反して、頭はよく動いてる。
あぁ、でももうだめだ。
このまま消えてなくなっちゃうのかな。
そうしてついには意識も途絶えた。
「…、…い」
誰かが近くにいる?
でも目が重たくて全然開かない。
「おい、起きろ!」
「ひゃっ!」
大きな声が耳元に響いて、上半身がそのまま起き上がった
自分がどこにいるのかもわからないまま、あたりが暗いのだけはわかる。
キョロキョロと顔を動かすと、視界には金色の髪の毛が視界に入った。
片目には火傷の後のようなものがあって、シルクハットに大きくて優しそうな目の男の人が立っていた。
でもどこか警戒されている。
って。
「えっと、どなたですか?」
「それは俺が聞きたい。お前誰だ?なんで俺の部屋のベッドで寝てるんだ?そもそもどうやってここに入ってきた?」
前言撤回、全然優しそうな瞳をしていませんでした。警戒しかされていないのがわかる。
私も状況が一切わかっていないけれども、せめて名乗らなくてはと思い口を開くもそこから言葉が出てこない。
魚のように口をパクパクとすることしかできなかった。
「あの、えっと?え?」
どうしたらいいかわからなくて、パニックになりかけている私に流石に様子がおかしいと思ったのか、近くにあった椅子を引きずってそばに座った。
「落ち着け、別に取って食いはしねぇよ」
さっきの雰囲気とは打って変わって、優しい雰囲気が滲み出ている。
なんだか不思議な人だなぁ。
「あの、えっとごめんなさい。私もなんでここにいるのかわからないというか」
どうしたらいいかわからずとにかく手だけ身振り手振りで動かすことに。
「わかったわかった、とにかくお前、名前は?」
「あ、名前。名前…」
やっぱり言葉が出てこない。
私の様子を見て何か思ったのか、首を掲げる。