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幽霊少女はそこにいた

第2章 ゆれるこころ



サボさんが帰ってきてからはまた私の世界は色鮮やかになった。

朝のおはようから夜のおやすみまでの会話が私がまだここに居ていいって言ってくれているようで、安心できた。

とは言っても、最初の頃よりもサボさんは忙しいようで、最近では朝か夜に少しだけお話をしてバタバタとお仕事に行ってしまうサボさんを見送ることが多かった。

その分、革命軍の雰囲気に少し慣れてきた私は一人で一人で彷徨い海を眺めたり、日向ぼっこしたり、ときには歌ったりして一人の時間を楽しめるようになっていた。

本当はもう少しお話ししたい、またこの間のように触れて欲しい頭を撫でてほしいという気持ちには気づかないように蓋をした。


そんなある日のことだった、その日は大雨が降っており海は荒れ、風により雨粒が窓を叩き大きな音を立てていた。

私はサボさんにお願いして、本を貸してもらって暇を潰していた。

「lala〜♪」

今日はサボさんが部屋にいてくれるおかげで私の心はウキウキしていた。
小さな声でリズムを刻む。さっきまではサボさんが部屋にいたけど今は誰もおらず、私の声は部屋に吸収されていく。

先ほどまで武器の手入れをしていたサボさんはコアラさんが怒りながらサボさんに連れて行かれた。なんでも隊長たちの会議があったらしく、それを忘れていたみたい。

「ヤベェ!」と言いながらバタバタと資料を持って出ていってしまった。

最近分かったことは、サボさんはこの革命軍でかなり偉い立場の人らしい。
最初は全然わからなかったけど、いろんな人がサボさんに確認しにきたり、サインをもらいにきたりと人が途絶えることがなかった。

だからなのかな、いろんな人が来る中でも特に回数の多いコアラさんと二人でいる姿を最近はよく見るようになった。

お互い信頼しているんだろうな、心を許しているんだろうなというのがよくわかるやり取りが羨ましかった。

「仲がいいんだなぁ」

チクッと胸の奥に何かが刺さった気がする。
気がするだけ、実際はなんともないし。

それでもさっきの二人を思い出すと、ウキウキしていた気持ちはあっという間に沈み、気がつけばただ本を見つめているだけになっていた。
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