第7章 二人の会話。
ドアにもたれ掛ったまま、凛の後ろ姿に
ひらひらと手を振って、
「凛ちゃん帰ってもたや~ん。
一緒に帰ろと思って、せっかくきたのに~。
…あっ、浩二。なんかごめんね~。」
しれっとぬかしやがる。
「何がごめんやねん。白々しい。」
俺は、自分の鞄の前まで戻りながら
凛の感触を思い出していた。
「よう言うわ。俺がここにおって、
見てたん知ってたんやろ?
どうせ、わざと俺に見せてたんやろし。」
「チッ…バレてたか。」
まあ、似た者同士、手に取るように
分かるってか。
「ええなぁ~。俺も凛ちゃんの匂い嗅ぎたい!!」
「お前は、犬か!!」
「俺も、凛ちゃんの耳噛みたい~!!」
羨ましがっとけ。
「…犬か…。それもええなぁ。
んで、凛ちゃんと一緒に風呂入るねん。」
はあ??
「あほか。お前が犬やったら、
容赦なく山に捨てにいったるわ。
それと…凛との風呂は俺が入るしな。」
そう言いながら、鞄を手に、
俺たちも帰るかと廊下を歩き始めた。
「ん~。ほんなら、三人で入るか…風呂。」
まだ言うてんのか…コイツは。
「なんでやねん。」
ツッコミを入れた俺に、翔太は…
「お前のちゃうやろ?…まだ。」
そう言いながら笑った。