第12章 危険人物
トイレの壁に手首を顔の横で抑えられ顔を近付けてくるこの子。
いや、待って…何がしたいのか全く分からない…!
綺麗な顔が近付いて不覚にもキュンとしてしまう自分をぶん殴ってやりたい。
『あ、あの……離して?』
?「命令すんな」
『いや、命令じゃなくてお願いなんだけど……』
そもそもこの状況はなんなの…
トイレの壁に押さえつけられるって…何?私殴られる???
これは殴やれる前触れ?うわ…嫌すぎる……!!!
『わ、私用事が……』
?「まだ話終わってねぇ」
『いや、さっきからずっと無言で全然話してないよね…!?私もう行くから…っ』
?「てめっ、動くんじゃねぇ…!」
私は相手から逃れようと抵抗すれば、相手も負けじと抵抗し返してくる。
しつこい…!なんて思いながら手を振り払おうとすれば、トイレの入口付近からマイキーくんの声が聞こえた。
マイキー「名前ー?大丈夫かー?」
『はっ…マイキーくっ…んん!?』
マイキーくんの声に私は助けを求めようと声を出そうとすれば、いきなり目の前の相手が私の顎をグイッと持ち上げたかと思えば、マスクのまま相手は私の口にキスしてきた。
マスク越しとは故、相手の行動に驚きが隠せずに目を見開き私はフリーズしてしまった。
そして少しの時間が経てば口が離れ、そのまま相手の胸に抱きしめられた。
私は何が起こっているのか理解が出来ずにただただ呆然とした。
すると、私の声が少し聞こえたのか、心配してマイキーくんが女子トイレの中まで入ってきた。
マイキー「名前、どうした?大丈夫か……って、三途?」
マイキーくんは目の前にある状況が理解出来ずにフリーズしてしまった。
すると、三途と呼ばれるこの子がマイキーくんの方を向いて口を開いた。