第10章 不審な手紙
自分にも飲み物を用意して千冬くんの言葉を聞きながら飲んでいれば、千冬くんの口から衝撃的な言葉が発される。
千冬「…名前と一緒に居たいから。これが理由じゃダメか…?」
『………………………………………』
現実ではなかなか聞かないであろう恋愛漫画に出てくるような言葉を放つ千冬くん。
捨て犬のような目をしながら言ってくるもんだから、可愛すぎて私は飲んでいたマグカップを手から落としフリーズした。
千冬「お、おい…!こぼれてる!」
『…へ?あ、あぁ、ごめん…!』
私は慌ててマグカップをテーブルへと拾い上げてすぐにティッシュでこぼれた飲み物を拭き取る。
すると千冬くんも拭くのを手伝ってくれる。
床を拭きながらちらりと千冬くんを見れば、何故かバッチリと目が合ってしまい慌てて逸らした。
千冬「さっきの理由聞いてたか?」
『き、聞いてたけど……』
千冬「答えは?」
『べ、別に…いいけどっ……』
…いやいやいやいやいや全然良くない…!!!!
は?私ちょろ過ぎない!?
いやでも、年下のかわい子ちゃんにおねだりするようにあんなキュンとするような言葉言われたら誰でも折れちゃうよね?
私は正常…大丈夫、ショタコンとかそうゆう部類じゃない…私は健全…私は健全…
私は自分にそう言い聞かせながら目を泳がせていれば、千冬くんは嬉しそうに笑った。
千冬「お泊まり決定だな!」
『あ、いや…その…』
千冬「彼氏いないんだしいいじゃん」
『そうゆう問題ではないと思うんだけど!?』
千冬「それに、あんなことがあったばっかりで名前も不安だろうし今日くらい一緒に居てもいいだろ?」
その言葉に私は軽く目を見開く。
別に泊まりたい訳じゃなくて、私の事心配して一緒に居てくれようとしてるのかな…?
千冬くんの優しさに私は胸がキュッとなった。
『千冬くん…』
千冬「あ、また"くん"付に戻ってる…千冬な、千冬」
『あ、ごめん…ありがとう千冬…』
千冬「いいって」
千冬は向日葵のような明るい笑顔で、私の髪をわしゃっと撫でた。