第10章 不審な手紙
頑張って心の声を抑えていれば、千冬くんはなにかに気づいたようにハッとした。
『…どうしたの?』
千冬「…それって、男物だよな?」
『え?』
私は千冬くんの言葉に耳を疑った。
男物って…なんの事?
私は心当たりもないまま首を傾げていれば、千冬くんが指を差した。
千冬「そのお泊まりセット的なやつ…」
千冬くんの指差す方を見れば、マイキーくんが置いていったであろうバックから飛び出ているお着替えセットらしきものが目に入った。
『あっ…』
千冬「やっぱり名前って彼氏いたんだな…」
『いや、居ないよ?これはマイキーくんが置いていったやつで…』
千冬「えっ。マイキー君泊まったのか…!?」
千冬くんは何故か少し頬を赤くしながら食い気味に尋ねてくる。
えっ、なになに…どうしたのこの子…
そんなにマイキーくんが来てたことが嬉しいのかな?
『一泊だけしかたなくね…』
千冬「…やるなぁ…マイキー君」
…何を想像しているのかこの子は……。
千冬くんを不審そうに見ていれば、いきなり千冬くんが手をポンと叩いて口を開いた。
千冬「オレも今日泊まる、つか泊まらせて」
『…………はい???』
何を言い出すのかと思えば自分も泊まりたいと期待の眼差しを向けてくる千冬くん。
その眼差しはまるで懐いている犬のように見える。
『いや、なんでそうなった?』
千冬「なんとなく?」
『なんとなくで外泊は許しません』
千冬「ケチ…じゃあ理由があればいいんだな?」
『理由なんてないでしょ』
私は千冬くんの言葉を受け流しつつ、気分も落ち着いたので千冬くんにジュースを用意した。