第10章 不審な手紙
照れくさそうに顔を赤らめて顔を逸らしていた千冬くんが少し俯き加減のままチラッと私の方を見てボソッと呟いた。
千冬「あのさ……」
『ん?どうした?』
千冬「…オレも、名前って呼んでもいいっスか?」
断られると思っているのか、眉を下げて不安げな表情で聞いてくる千冬くん。
何事かと思えば名前の話ね…
別に呼び方にこだわりないから全然呼び捨てでもいいんだけど、千冬くんはちゃんと許可取るんだ…可愛すぎだしいい子すぎかよ
『もちろん。好きなように呼んで?あと敬語とかも別に使わなくて平気だし、もっとラフでいいよ』
その言葉に千冬くんは嬉しそうに目を輝かせた。
本当になんなのこの子…可愛いの暴力ってこうゆうことを言うのかもしれないね…生まれて初めて体験したよ私は。
千冬「へへ、名前サンキュ」
『…かわっ……』
千冬「?なんか言ったか?」
『あ、なんでもない』
やべぇ、つい心の声が漏れそうだった。
このくらいの年頃の男の子に可愛いは禁句なんだよ…大概嫌がられるから心に留めておかないと…でも可愛いのが悪いよね、本当に。
私は声に出た心の声を誤魔化して名前の話に戻す。
『私もさ、勝手に千冬くんって下の名前で呼んじゃってるけど、大丈夫だった?』
千冬「全然平気。寧ろそっちの方がいいし」
『そう?なら今まで通り千冬くんって呼ぶね?』
千冬「…あー、ワガママ言うと…"くん"はいらねぇかも」
『えっ、いらないの?…呼び捨てが好きなの?』
千冬「呼び捨てが好きっていうか…なんつーか…(名前だから呼び捨てがいいなんて言えねぇ…)」
『まぁ呼び捨てでいいなら呼び捨てで呼ぶけど…』
千冬「えっ?ほんとか?」
『千冬が満足するなら呼ぶよ』
呼び捨てされたいと言う願望のまま、私は千冬くんのことを呼び捨てすれば、千冬くんは嬉しそうに照れ笑いをした。
千冬「まじで嬉しいっ」
ふぁー…可愛いの極み………