第9章 映画デート
『これって…』
私は渡されたチケットを受け取り、なんのチケットだろうと眺めれば映画のチケットだった。
ドラケン「たまたま手に入ったからオマエにどうかと思ってよ」
『えっ…でも、なんかペアチケットだし…誰かと行く予定じゃなかったの?』
ドラケン「別に…」
ドラケンくんは目を逸らしながらボソッと呟く。
本当にこれ貰っちゃっていいのかな…
そんなこと思いながらチケットを眺めていれば、ドラケンくんがか細い声で話しかけてきた。
ドラケン「一緒に…行かねぇか」
ん?今なんて???
一緒に行かないかって誘われた気がしたけど…
あれ、空耳?
『えっと、なんて?』
ドラケン「………暇だったら一緒に行かねぇか、映画…」
『えっ、一緒に?まぁ今日は暇だけど…でも私なんかでいいの…?』
ドラケン「いいから誘ってんだよ」
…………これってデートのお誘いですか???
こんな若い子と映画デートとか人生で味わえることないよね…今日オフだし行こうかな…別にやましい気持ちとかないからセーフだよね…!?
『分かった、私でよければ一緒に行こっか』
そう伝えればドラケンくんは嬉しそうな顔をした。
イケメンだけど可愛いなぁ…なんて思いながら自分も笑顔になれば、マイキーくんが頬を膨らましてこちらを見ていた。
マイキー「今日はオレと過ごすって約束したじゃん」
『えっ?約束はしてない…よね?次の日休みだから泊まらせてあげるとは言ったけど…』
マイキー「ケンチンばっかずりぃ」
ドラケン「チケット無駄にするよりはマシだろ」
マイキー「絶対名前誘う前提で用意しただろ」
ドラケン「さぁな」
ドラケンくんと映画に行くことがどこか腑に落ちないマイキーくんは何故かずっと拗ねている。
二人は何やら話しているものの私には聞こえないので、その間にゴミ出しを済ませた。