第2章 どら焼きと中学生
『い、いきなり抱きついて来ないで…!』
?「なんで?いいじゃん、減るもんじゃねぇし。あ、お姉さんこのあと暇?良ければ一緒にどら焼き食わねぇ?」
抱きついたことに謝罪もなく不思議そうにこちらを見てくる彼だったが、いきなり一緒にどら焼きを食べないか…なんて誘ってきた。
仕事に加えてさっき意味わからない不良に絡まれたから疲れてるから帰りたいんだけどなぁ……。
『いや、遠慮しとく…』
?「なんで、いいじゃん。ちょっとだけ」
少し眉を下げ困ったような顔で私の手に軽く手を添えてくる彼。
そんな母性擽るようなお願いされては断りにくいじゃん…!
どうするべきか考えていれば一緒にいた背の高い金髪くんが口を開いた。
?「少しでいいから付き合え」
『えっ……』
この子に対して諦めろとでも言ってくれるのかと思いきや、逆に賛同してるこの人。
なんでなの…?
変に逆らってまた反感買ったら嫌だから少しだけ付き合うか…
『分かりました…少しだけですよ』
?「マジ?やったね。んじゃあそこの公園行こうよ」
少しだけ2人に付き合うことにした私。
男の子は嬉しそうにどら焼きの紙袋を抱えて私の手を引きながら商店街から近い開けた広場のような公園に来た。
少し長めのベンチに腰掛ければ、私の両端に金髪2人が座った。
なんだろう…隣にいるだけなのにめちゃくちゃ威圧感………。
?「お姉さん名前なんて言うの?」
『あ、私は苗字名前。お二人さんは?』
?「名前ね。オレは佐野万次郎。マイキーって呼んで」
紙袋の中を覗きながら名前を教えてくれるマイキーくん。
それに続きもう一人も名前を教えてくれた。
?「俺は龍宮寺堅。ドラケンでいい」
『マイキーくんにドラケンくんね。よろしくね?』
よろしくねって何…私…!
さっきの武道くんといいこの2人といい…なんでそんな初対面の名前を知りたくなるんだろう…謎。