第2章 どら焼きと中学生
『は、はい…!なんでしょうか…?』
関わりたくなかったのに何故か声をかけられてしまった…。
今日の私はとことん運がないなぁ…とほほ…。
恐る恐る相手の顔を見ながら要件を尋ねた。
?「それさ、どら焼きじゃね?」
相手はそう口にすれば、私の手の中にあるどら焼きの紙袋を指さしてきた。
『えっ…あ、そうですけど……』
…………この子は犬か何かですか?
匂いだけで食べ物の在り処が分かるとか?
いや…お店の紙袋に見覚えがあるからかな?
何故かそんなアホなことを考えながら首を傾げていれば、金髪のヤンキーくんが私の近くに寄れば顔を覗き込んできた。
?「あのさ、それ譲ってくんね?」
顔を覗き込んでくる彼の顔をちらっと見ればすごく綺麗な顔をしていた。
イケメンだけど…あどけなさもあって可愛い感じがする。
『えっと……』
?「お願い、半分でいいからさ」
半分…!?
どら焼きを他人と半分こってある?
やっぱりこの子変わってるな…なんて思いながらも、先程まで譲るか譲らないか迷っていた為、変に絡まれるのも嫌だしこの際譲ってしまおうと思いどら焼きの紙袋を相手に差し出した。
『半分って……。いいですよ、これあげます。2つ入ってるんで食べてください』
?「えっ、マジ?いいの?やった!ありがとな」
目をキラキラさせながら差し出された紙袋を嬉しそうに受け取る彼。
そんなに喜ばれると譲った甲斐があったなと思える。
すると、嬉しそうな彼は私に抱きついてきた。
?「お姉さんマジ優しい」
『へ?ちょ、ちょちょ、待っ…』
いきなり抱きつかれビックリしてしまう私。
あまり異性に慣れていない私は硬直状態。
って、いきなり抱きつくとか…人懐っこ過ぎ…!
私は耐えきれずに彼の肩を押し返した。