第8章 シングルベッド
『……一回だけだからね…』
私はしかたなく、イザナくんの頬に手を添えては唇にちゅっと軽くキスをした。
数秒してすぐに唇を離せば顔を離した。
『………これでいいでしょ』
イザナ「……………」
恥ずかしくて顔を逸らすも、イザナくんが黙り込んでしまったのでチラっとイザナくんを見れば嬉しそうな顔をしている。
………いや、可愛すぎか……何その顔……
『もういいでしょ…早く寝な?』
イザナ「…………寝る」
イザナくんは私の身体をぎゅっと抱き締めればそのまま寝る体勢に入った。
…いや、抱きついたまま寝るのね…この子…
私はイザナくんの髪を撫でながら様子を伺う。
イザナくんは満足したのか、そのまま目を閉じて暫くすれば寝息が聞こえてきた。
『………………………』
寝顔まで綺麗だなぁ…イザナくん。
彼の寝顔を見ながらぼーっとしているも、何故か眠気が襲ってこない私。
……うん、強い刺激を受けすぎて眠れなくなった。
どうしてくれんだイザナコノヤロー。
眠れなくなったことに気づいたら、さっきまで可愛いと思ってた寝顔にイライラしてくる。
自分だけスヤスヤ寝てんじゃねぇ…なんて思いながら、イザナくんの手を退かし起き上がれば私はリビングへと向かった。
『はぁ…全く眠れなくなった……』
私はリビングに来れば、温かいミルクティーを入れる。
温まれば眠れるかもしれないと思い、深夜番組を見ながらミルクティーを飲む。
『はぁ…めちゃくちゃ落ち着く……』
一人でホッとしていれば、ふと時計に目をやる。
時間は深夜を回っている。
本当に明日休みでよかった…仕事だったら寝ないで仕事に行くはめになってたよね…これ。
この時間大したテレビもやってなくて暇を持て余した私はふと携帯を開く。
すると、一虎くんからメールが来ていた。
"マイキーに邪魔されたから続きはまた今度"
その文字を見た瞬間返信する気にもならず私はそっと携帯を閉じて置いた。