第8章 シングルベッド
『…イザナくん?』
いきなり手を握られ少し驚けば、イザナくんの方を見る。
イザナ「離れないで」
『……………ぅ』
捨て犬みたいな顔をして、離れないでと悲願しながら指を絡め恋人繋ぎをしてくるイザナくんに何故か強く言えない私。
可愛い…それはずるい…
長年彼氏無しの私には刺激が強すぎる…!!!
手を握られるだけで何故か気恥ずかしくなり、イザナくんから目を離して目線を落とす。
イザナ「なんか顔赤いけど」
『き、気の所為じゃない……?』
イザナ「……………」
目線を落としつつ顔を隠す為に下を向いていれば、いきなりイザナくんに顔を覗き込まれて驚いた途端、手で後頭部を押さえ付けられそのまま唇にキスをされた。
『んっ……!?』
イザナ「…ん」
予想外の事に私は一瞬フリーズするものの、慌てて握られていない方の手でイザナくんの胸板を押すもビクともしない。
私は反射的にぎゅっと目を閉じれば、イザナくんは私の唇を舌で押してそのまま口内に舌を入れ舌を絡めてくる。
『ンンっ…!』
イザナ「……は」
舌をねっとりと絡められ、頭に酸素が回りにくいような感覚に襲われる。
モゾモゾと動いていればイザナくんの唇がゆっくりと離れた。
イザナ「顔溶けてる」
『っ…ち、ちがっ…』
イザナ「オレからしてやったんだから、今度はお前からして。下僕兼犬なんだからさ」
『な、何でそうなるの…!?下僕にも犬にもなった覚えないんだけどっ…』
イザナ「早くして」
いや、人の話聞け…!?
キスしろと言わんばかりに顔を近づけてくるイザナくん。
なんでそんなにキスしたがるのこの子…!!
私がなかなかキスせずにいれば、スっと腰付近から背中にかけて手を入れられる。
『えっ、ちょっ…どこに手入れて…っ』
イザナ「キスしてくれないなら襲う」
『なっ、なんでそうなる…!?』
イザナ「襲われる方が本望?」
『そ、そんなわけないでしょ…!』
イザナ「じゃあ早く…して」
甘い声で誘ってくるイザナくんに心折れれば、襲われるよりキス一つで済むならと思い私はイザナくんに近づいた。