第8章 シングルベッド
『い、イザナくん…?』
いきなり抱きしめられたことに驚くも、ハグなんて何年ぶりだろう…なんて思いながらもイザナくんの様子を伺う。
すると、イザナくんは抱きしめたまま私の肩に顔を埋めてくる。
イザナ「……オマエ、暖かい」
『そうかな?まぁ普通の人よりは体温高めかもしれないけど…』
イザナ「そうゆうことじゃない。………今日からオマエをオレの犬か下僕にしてやる。好きな方選べ」
………ん?今なんて???
オレの犬か、下僕にしてやるって言った???
どうゆう風の吹き回しなのこの子。
『あの……犬と下僕ってどうゆう…』
イザナ「言葉の通りだよ」
『いや、意味がわからないんですけど…?』
イザナくんは私から少しだけ離れれば、抱きしめたままのせいか至近距離にイザナくんの顔があってすぐに目線が合う。
まっすぐ見つめてくるイザナくんを見返すも、顔が綺麗すぎて何だか恥ずかしくなり私は目を逸らした。
イザナ「早く選べよ。決めさせてやるって言ってるんだから」
『いや、どっちも嫌なんだけど…!』
マイキーくんを起こさないように小声で反論する。
すると、イザナくんは軽いため息を吐いた。
イザナ「選ばないならオレが選ぶ」
『なんでそうなったの』
私のことはガン無視で顔をジロジロ見てくるイザナくん。
見られることに慣れないせいかすごく恥ずかしい気持ちになる。
イザナ「犬もいいし、やっぱり下僕でもいいなぁ」
『選択肢はその二つしかないのね…』
イザナ「他に…姫とか?」
『姫…!?なにそれかわいい…』
イザナ「オマエは姫って柄じゃねぇから却下」
失礼すぎるよこの男。
私だって姫とかそうゆうのには憧れるよ…女の子なら何歳になっても憧れちゃうよね?
犬とか下僕よりは断然いいと思うんだけど…???
イザナ「もう下僕兼犬でいいよな」
『えっ…めちゃくちゃ嫌だ…』
イザナ「オマエに拒否権はない」
意見を曲げないイザナくんに肩をがくんと落とせば、ついため息を吐いてしまう。
なんで私が年下の犬と下僕にならなくちゃいけないんだ…
そう思いながら落ち込んでいれば、イザナくんは私に向かって自分の唇を指さしてきた。