第2章 どら焼きと中学生
私は武道くんと言う男の子と別れてから商店街を歩いている。
真っ直ぐ帰ろうかと思ったけど…色々ありすぎて疲れたから甘いものでも買って帰ろうかなと思い、いつも行っている行きつけのどら焼き店へと寄った。
『おばちゃん、今日どら焼きある?』
おばちゃん「あ、名前ちゃんいらっしゃい。まだ今日の分残ってるよ」
『やった!あと何個ある?』
おばちゃん「今日の分はあと二つだよ」
『じゃあ二つください!』
おばちゃん「じゃあひとつサービスね」
常連と言うこともあり、いつもサービスをしてくれるおばちゃん。
結構人気店の老舗で私が上京した頃から通っている。
どら焼きを手に入れれば、私は店から出る。
すると、ヤンキーの様な金髪の2人とすれ違い店の中に入っていった。
『今日の分売り切れなのに…』
今日の分のどら焼きは私が全部買ってしまったので、店内に無いことは分かっていたせいで心の声が漏れてしまう。
何となく2人が気になり入口から2人の様子を伺う。
?「おばちゃんどら焼き〜」
おばちゃん「あら、万次郎ちゃん!ごめんね〜今日の分さっき売り切れちゃったんだよ」
?「えっ、さっき?俺今日ここのどら焼き食べれるって思って学校頑張ったんだけど」
店に入っていく時はルンルンだった金髪の小柄な男の子。
どら焼きがないことを知れば悲しそうな顔をして、あからさまに不機嫌モードになっていた。
うっ…なんかすごく罪悪感…。
2つあるし…譲った方がいい?
?「しかたねぇ、今日は諦めようぜ」
?「は?絶対嫌なんだけど」
?「ねぇんだからしかたねぇだろ」
?「むぅ……」
不機嫌になるもどうにかもう1人の人が宥めて2人が店から出てきた。
こ、これは譲るチャンス…!!!
……って、別に譲る必要も無いか…買ったもん勝ちだしなぁ…
先程まで良心的な気持ちだったが…何故か譲る事を諦めた私。
何故なら2人がヤンキーのようだからだ。
さっきのように絡まれたくないし…
?「ねぇ」
そんなことを考えながら立ち尽くしていれば、いきなり声をかけられた。