第6章 救世主
マイキー「ん…」
『……………え?』
マイキーくんは数秒指の傷を眺め、次の瞬間血が出ている指をパクッと口に入れれば舐めてきた。
……え?何してるんですか君は?
舐められる傷口が少し染みるけど、そんな痛み気にならないくらいマイキーくんの行動が気になるよ私は。
まるで少女漫画に出てくるようなシチュエーションに私はなんだか恥ずかしくなり、バッと手を引いた。
『こ、こんなのほっとけば治るから…!』
馴れないシュチュエーションにカァッと顔が熱くなる。
するとマイキーくんは私の顔を覗きながら口角を上げて笑った。
マイキー「めちゃくちゃ顔真っ赤じゃん」
『う、うるさい…』
私はマイキーくんから顔を背ければ再びグラスの破片を拾い、シンクを綺麗にした。
マイキー「なんでコップこんなにあるの?」
『あぁ…これはマイキーくんのお友達が遊びに来てたからね』
マイキー「一虎だけじゃなくて?」
『うん、場地くんと松野くんが来てたよ』
マイキー「…は?なんで?」
『たまたま近所の公園で会って、ペヤング食べたいから湯切りさせてって言われてしかたなく…それで一虎くんも来たって訳』
洗ったグラスを拭きながらマイキーくんの質問に答える。
棚にグラスをしまいつつチラッとマイキーくんを見れば、どこか不満そうな顔をしていた。
「マイキーくん?どうした?」
マイキー「……別に。つか、なんでグラス割ったの?」
いや、めちゃくちゃ質問してくるじゃんこの子…
そんなグラス割った理由まで聞きたいのかな…謎。
『グラス割ったのは手を滑らせただけだよ?…そんなに気になる?』
マイキー「名前のことはなんでも気になる」
……か、可愛い………
萌え死ぬ。本当に勘弁してください…マイキーくん。
マイキーくんはいい子だなぁと思いながら、グラスを拭いた布巾を畳んだ。
『教えられることならなんでも教えるよ。…と、夕飯どうしよっか?今から作ると遅くなるし…今日はコンビニでもいいかな?』
マイキー「ん、じゃあ一緒に買い行こ」
そう言うとマイキーくんは私の手を握ってきた。
やめて…可愛い………私は感情を押し殺しマイキーくんとコンビニに向かった。