第1章 序章
暫く無言で走らされては人気のない公園まで連れてこられた。
25歳の私を走らせるとか本当に勘弁して……!
体力がない私は少し走っただけで息切れをしてしまう。
息切れをしている私を見れば男の子はハッとした。
?「あっ、す、すみません…!」
『はぁ…いや、大丈夫だけど……』
?「さっきは巻き込んでごめんなさい…。関係ないのに…」
男の子は申し訳なさそうに俯きながら私に向けて謝罪の言葉を述べる。
『別に…気にしなくていいよ?何もされてないし……それより君…怪我してる?』
あまり彼の顔を見ていなかったが、顔が傷だらけで少し痛々しかった。
さっきの人達にやられたのか…それとも普段からヤンチャをしているのか…どっちなんだろう。
「あ、大丈夫です…!いつもの事なんで」
『そう…?怪我するし…あんまりヤンチャしちゃダメだよ?』
何だか彼が子犬みたいで可愛く見えてしまい、私は自然と男の子の頭を撫でていた。
すると男の子は顔を真っ赤にして目を逸らした。
?「えっ、あ、ありがとう…ございます…」
恥ずかしそうにお礼を述べる男の子がとても可愛くて自然と笑みがこぼれた。
『こちらこそ助けてくれてありがとう。じゃあ私は行くね?』
さっきのヤンキーもいないし、もう大丈夫かなと思い私は帰ることにした。
男の子に背を向けて帰ろうとすればすぐに呼び止められる。
?「あっ、あの…!」
『ん?どうしたの?』
?「えっと…名前とか…聞いてもいいですか?」
『えっ、名前?』
?「あっいやっ、ごめんなさい…嫌だったらいいんです…!」
なんで名前なんて知りたいんだろう。
まぁ、悪い子ではなさそうだし教えてもいいよね。