第22章 トラウマ
真一郎「名前は可愛いんだからそんなこと言うなって。まぁ、冗談はさておき…何か困ったことがあればいつでも頼って来いよ」
そう言ってニコッと微笑む真一郎。
やっぱり冗談…!
そりゃそうだよ…こんなかっこいい人が私なんか相手にする訳ないし、女の子に困ってなさそうだしなぁ…。
そんなことを考えつつ、真一郎の優しい笑顔につい釘付けになるも、可愛いなんて言葉に少し恥ずかしくなってしまう。
『ありがとう、真一郎。私も力になれることがあればいつでも』
頼れる兄のような真一郎に私は安心感を覚えた。
真一郎「それで?今日の本当の目的はなんだったんだ?」
『あ、そうだった…えっと、この間ドラケンくんに借りた上着を返したくて。私ドラケンくんの家とか知らないし、ここに来れば会えるかなって思って』
真一郎「あぁ、この間の…ケンは多分今日は来ないかもな。バイクもメンテしたばっかだし」
『そっかぁ…残念…』
忘れる前に返してしちゃいたいけど…
どうしようかな…
そう思っていれば、真一郎は私の手にあった紙袋をひょいっと持ち上げれば中覗いて確認した。
真一郎「これはオレからケンに返しておくから。また近々来る時あるだろうし」
『え?ほんと?』
真一郎「おう、任せろ!」
真一郎なら安心して任せられると思えば私はそのままドラケンくんの服を預けた。