第22章 トラウマ
『真一郎さ…じゃなくて、真一郎ってなんかお兄ちゃん感あるよね。私とそんなに歳変わらないはずなのに頭撫でてきたりとかするし』
真一郎「あー、多分下に弟妹が居るからかもな」
『へぇ、そうなんだ!何歳くらい?』
真一郎「中高生くらいだな。小さい頃に比べてあんまり甘えてこなくなったから少し寂しい気もしてる」
そんなことを言いながら、弟妹の小さい頃を思い出しているのか笑顔が優しい真一郎。
こんな優しいお兄ちゃんだったら幸せだろうなぁ…
いいなぁ…羨ましいなぁ。
真一郎「名前は兄弟居ないのか?」
『あ、私は居ないよ。ずっと一人っ子だから…兄弟いるって羨ましいかも』
真一郎「一人っ子かぁ。それはちょっと寂しさはあるかもな。…それじゃ、今日から名前もオレの妹になれ…って言いたいところだけど、名前は妹じゃなくて彼女がいいな?」
『……………………は?』
真一郎の言葉に私は間抜けな声を漏らす。
この人は何を言っているのか…
彼女???………彼女とは???
私はいきなりの言葉に、真一郎の発した言葉を理解するのに数秒かかった。
『いやいやいやいや、私たちまだ会ったばっかりだしそんなこと…』
真一郎「あるだろ?一目惚れってやつ」
『……いや、それは多分目の錯覚じゃないですかね…私一目惚れされるような顔してないし…気の所為だよ、うん』
人生で彼女にしたいなんて、冗談でも言われたことがなかった。
また遊ばれてるのか…これは…。
過去に1度だけした恋愛を思い出せば、絶対に遊ばれてる…なんて過信してしまう自分がいた。