第22章 トラウマ
『…真一郎さんって優しいですよね。包容力があるというか』
真一郎「ん?そうか?そんなこと言ってくれんの名前ちゃんだけだな」
『そんなことないですよ。真一郎さんかっこいいからモテそうだし』
そう伝えると、急に真一郎さんは口元を押えて少し俯いて黙り込んでしまった。
………え?なに?なになになに!?
私の言葉に吐き気を伴った?
そんなに私キモかった?えっマジごめん…
『あ、あの…真一郎さん?大丈夫ですか?ごめんなさい…私何か変なこと…』
真一郎「名前ちゃんはほんっとにいい子だな…!」
そう言って、いきなりガバッと抱きしめられ私は一人困惑した。
『…え?あ、え?』
何?展開が読めない!!!
私何言ったっけ?いい子って言われるようなこと言ったっけ!?
私はどうすることも出来ずに、真一郎さんに抱きしめられるがまま硬直した。
真一郎「あ、ごめんな?つい」
真一郎さんはそっと離れれば再び頭を撫でてくれ、そのまま定位置に戻った。
『い、いえ…真一郎さn』
真一郎「あ、それこれからは禁止な」
『えっ?禁止…とは?』
真一郎「その"真一郎さん"ってゆうの。真一郎でいいから」
『そ、そんな馴れ馴れしくはちょっと…!』
真一郎「いいだろ?もう顔合わせるの三回目くらいだし。オレも名前って呼ぶから、名前も真一郎って呼んで」
確かに会うのは三回目くらいだけど…未だに慣れないし…
それになんか他の人とオーラが違うからついさん付けで呼んじゃうけど…本人が呼び捨て希望なら呼び捨てで読んだ方がいいよね…絶対に。
『…………真一郎…』
真一郎「お、いいじゃん。よく出来ました。これからはそれでな。後敬語もいらねぇから気軽に話して」
『はい…わかりましt……わかった』
真一郎さん…じゃなくて、真一郎って…めちゃくちゃグイグイ来るしなんか犬みたい…ゴールデンレトリバー?
真一郎の顔を見ながら、ゴールデンレトリバーと顔を重ねればそっくり…なんて内心思ってしまった。