第22章 トラウマ
?「名前、大丈夫か...?」
その安心する声に私はすぐに後ろを振り返った。
『......千冬...?』
見慣れた姿に私は安心し、自然と涙が溢れその場にへたりこんでしまった。
千冬「だ、大丈夫かよっ...急に目隠しして悪ぃ…怖かったよな…」
『ぅ…こ、殺されるかと思ったぁ〜…』
普段ボロ泣きする事なんて映画観る以外にないのに、何故か涙が溢れて止まらない。
その様子に千冬は私と同じ目線に合わせてくれて涙を拭ってくれる。
千冬「悪ぃ…でも、お前が無事で良かった。アイツの事は場地さんが…いや、なんでもねぇ」
『…私こそごめんねっ…何か安心したからなのか涙が止まらなくなって…場地くんと千冬が助けてくれたの...?』
千冬「おう、たまたま通ったら名前が変な男に捕まっててさ。仲良さげには見えなかったから」
『...ほんっとありがとう…助かった……』
安心させようとしてくれているのか、千冬はほんのり笑いながら私の頬を撫でてくれる。
そんな千冬の笑顔に、自然と自分も笑顔になり涙も徐々に止まった。
すると千冬の背後から小走りで場地くんが戻ってきた。
場地「名前大丈夫かァ?」
『場地くん…。ほんとありがとうね…助かったよ…助けてもらわなかったらどうなってたことか…』
場地「いいって。多分アイツもうお前に近付かねぇと思うから安心しろ」
『え?どうやって説得を…?』
場地「お前は気にしなくていんだよ」
『いや、でも…』
場地「うるせぇ。ほら、家まで送ってやるから乗れ」
そう言って場地くんは千冬を退けて、私の前に背中を向けたまましゃがんだ。
…これは…おんぶしてくれるってこと…?
いやいやいやいや、無理…!!!
私そんなひょいっと持ち上がるほど軽くないし…場地くん腰抜かしちゃうじゃない?ね?
『いや、私重いし…気持ちだけ受け取っておくよ…』
場地「んな事どーでもいいからさっさと乗れ。腰抜かしてその辺に這いつくばってるとまた変な男に絡まれんぞ」
う…、それは嫌だ…
仕方ない…場地くんには申し訳ないけど背中借りるしか…!
私は意を決して、場地くんの背中に抱きついた。
『その、疲れたらすぐ下ろしていいからね…?』
場地「バーカ、そんなヤワじゃねぇワ」