第22章 トラウマ
あれから私は無事に会社まで到着し、遅刻したことを必死に謝った。
"次からは気を付けて"と、注意で済んだものの…絶対に次はないよなぁ…なんて考えながら私は自分の与えられた仕事をこなした。
〜 仕事終わり 〜
『はぁ、今日はいつも以上に疲れたかも...』
まだ外も明るいし、場地くんとドラケンくんに上着を返しに行ってこようっと。
......いや、待て...
場地くんの家はこの前行ったから分かるけど、ドラケンくんの家知らなかった…!
どうしよう...あ、この間のバイク屋さんに行けばドラケンくんいるかもしれない。
そう思い、私は真一郎さんが経営しているバイク屋さんに向かう為歩き出せば、すぐに後ろから声を掛けられた。
「名前ちゃんお疲れ」
その声に私は背中をゾクッとさせた。
声の主は、この前の歓迎会帰りに私を無理やりホテルに連れ込もうとしていた張本人。
振り返りたくない...この場から逃げたい...
そう思えば私の身体は走り出そうとしていた...が。
「逃げないでよ、この前のことは悪かったからさぁ」
逃げようとしたことを悟られたのか、すぐに手首を掴まれ逃げられない状況にされてしまう。
『...いやっ...』
あの日の夜の嫌な気持ちと恐怖心が蘇り身体が震えて涙まで出そうになる。
これ...トラウマってやつなのかな...。
逃げる方法や恐怖心など色々頭の中を駆け巡りぎゅっと目を閉じた瞬間、パシッと言う音と共に男の手が私の手首から離れた。
『えっ...あっ、ちょ...!』
手が離れた感覚に、何が起こっているのか目で確認したくて振り返ろうとすれば、誰かに後ろから手で目隠しをされ、そのまま肩を抱かれどこかに連れて行かれるのを身体で感じ取り私は慌てたが、抵抗したら殺されるのでは?なんて物騒なことを考えそれ以上声が出なくなってしまった。
静かな場所に来たのか歩みが止まり、手の目隠しが離れ背後からすぐに聞き慣れた声が私の耳に飛び込んできた。