第22章 トラウマ
あれから私は、灰谷兄弟を置き去りにし家を後にした。
蘭ちゃん合鍵持ってたし、帰る時はどうにかしてくれるでしょ...多分。
そんなことを思いながら、私は会社まで早歩きで向かう。
会社に向かっている途中、脳内に" クビ "と言う文字が浮かび上がれば寒くもないのにゾッとしてしまう。
『......いやいやいやいや、1回の遅刻で首なんてこと...あるわけ.........』
ボソボソと自分に言い聞かせながら、道の曲がり角を早歩きのまま曲がれば勢いよく誰かとぶつかってしまった。
?「うわっ...!」
『ぎゃっ...!』
早歩きをしていたのもあり、ぶつかった反動が大き過ぎて私はその場に尻もちをついてしまった。
『いったぁ......』
「す、すみません...!大丈夫ですk...って、名前さん...!?」
『...え?』
どこかで聞き覚えがある声に私はすぐに相手を見た。
すると、そこには同じく尻もちをついてこちらを見ている武道くんの姿が目に映った。
...武道くんだと...???
癒しがいる...目の前に...!!!
なんでこんな焦ってる時に出会ってしまったんだ...なんて日だ...!!!
私は慌てて立ち上がり、武道くんに近付けば手を差し出す。
『武道くん...!?え、ごめん...!大丈夫?怪我してない?』
武道「え、あ...オレは平気っスけど...名前こそ大丈夫ですか?」
『私は大丈夫だよ。ごめんね?ちょっと焦ってて...』
差し出した手をなかなか取らない武道くんに、私は無理やり手を掴めば武道くんを立たせる手助けをする。
『ほんとごめんね?』
武道「いやっ...別に...!」
武道くんは立ち上がれば、照れくさそうに頬を赤くさせすぐに目を逸らしてしまった。
なんだそれは、がちかわいいな...
仕事行かずに武道くんとお話してたいけど…私には仕事が......嫌だぁ......
そんなことを思いながら腕にしていた都会を見れば、既に時間が迫っていて私は目を見開いた。
『...やっば...!ごめんね武道くん!また今度ゆっくりお茶でもしようね...!』
私は武道くんと別れて小走りで会社へと向かった。
武道「...名前さんに...手、握られた…」