第21章 打たれ弱い子
あれから何時間寝たんだろう。
私はハッとして目を覚ました。
『やばっ、二度寝してた...!今何時...』
起きた時既に遅し。
時計を見れば11時を回っていた。
『うっそ...大遅刻じゃん...!』
バッと起き上がれば私は慌ててクローゼットから服を適当に取りだし素早く着替え、洗面所に行く為にリビングを通ろうとすれば眠そうにソファーに座る灰谷兄弟が目に入った。
『..あ、おはよう...って....あれ、帰ったんじゃなかったの?』
蘭「今起きたとこだし。昨晩はよく寝た」
『......よく寝たじゃなくて...!こっちは大遅刻で焦ってるんだけど...!?』
竜胆「今日仕事だった?」
『一応平日だよ?基本的に私平日は仕事だから!』
洗面所に行きながら竜胆達と会話を交わす。
いや、準備も大事だけどとりあえず会社に電話しないとダメだよね...!?
今の会社に入ってから遅刻なんてしたこと無かったからわからん...!
髪を手櫛で整えながら携帯を手にすれば会社に電話をかけた。
洗面所で髪を直しながら、電話口に向かって遅刻したことに対して謝っていれば、背後に蘭ちゃんの姿が見えた。
電話をしつつ、蘭ちゃんは洗面所使いたいのかな...なんて思い洗面所から退こうとすればいきなり後ろから抱きついてくる蘭ちゃん。
蘭「腹減った」
『...すみません、ほんとに...今からダッシュで行くので...!』
蘭「聞いてんの?」
『ちょ...蘭ちゃん?今電話中なんだけど...!』
肩付近に顎を乗せながら、電話中にも関わらず話しかけてくる蘭ちゃんに電話を少し話しながら注意をする。
『あ、すみません...ちょっと弟が...』
遅刻した上に誰かと一緒にいるなんて知られたらマイナスなイメージになると思い、弟が...と何とか誤魔化す。
そして要件を終え電話を切ると同時に、蘭ちゃんは私の首元を噛んできた。