第21章 打たれ弱い子
意外と強引な蘭ちゃんに気持ち的に押されてしまい、つい自宅まで帰って来てしまった。
私の家は宿じゃないんですけど…
そう思いながら三人で家の中に入れば、二人はソファーへと腰を下ろした。
蘭「お前ん家狭いなぁ…もっと広いとこ住めばいいのに」
『…は?何様ですか?私にだって色々事情が…』
座っている二人を他所に、ラーメン食べたし何かさっぱりした飲み物でも出そうかと思い冷蔵庫を開けた。
…………………………あれ?
確かここにイザナくんに差し入れしてもらったイチゴのタルトが入ってたような………
そう思いながら蘭ちゃんの方を見れば、何も考えてなさそうにテレビをぼーっと見ていた。
………いや、まさかね。
蘭ちゃんだって人の冷蔵庫を漁って黙って食べるような子ではない…はず……
そんな疑いの目を向けながら蘭ちゃんを見ていれば、蘭ちゃんは私の視線に気が付いたのかこちらを向いた。
蘭「…なに?そんな見て」
『!……いや、別に………』
私は慌てて目を逸らせば、冷蔵庫から飲み物を取り出し用意したグラスに注いだ。
イザナくんから貰ったから無くなったことにショックだけど…食べ物如きで大の大人があーだこーだ言っても……でも食べたかったなぁ…イチゴのタルト……
そんなことを思いながら飲み物を注いでいれば、いきなり後ろから蘭ちゃんに顔を覗かれた。
蘭「飲み物溢れてるけど?」
『えっ…あっ……!』
タルトの事を考えていたせいか、飲み物が零れていることに気付かなかったが蘭ちゃんの言葉に私はハッとする。
蘭「何?言いたいことあるなら言えば?」
『……いや…その……』
蘭「もしかしてイチゴのタルト?」
『…え"っ、なんでそれを…!』
蘭「だって食べたし」
…やっぱりお前かぁぁぁぁぁぁあ!
食べるわけないって思ってたのに…結局蘭ちゃんが食べたんだね…あれ?イザナくんから貰ったタルトだって知ってるはずだよね?一緒に家に来たもんね???
……もしや、嫌がらせ……………?
そんなことを考えながらフリーズしていれば、蘭ちゃんはグッと顔を近づけて来た。