第20章 合鍵事件
あれは…千冬?
そこには商品棚をじっくり見ながら考え込んでる千冬が居た。
すごく険しい顔してるけど…これは声掛けない方がいい…よね?
なんか考え事してるみたいだし……
私は声を掛けるのを遠慮して店内の奥に行こうとすれば、何となく千冬の手元が気になりチラッと手元を見た。
『えっ…!?』
私の目に映ったのは避妊用のゴムを買うか買わないか迷っている千冬の姿だった。
あまりにも驚きすぎてつい声が出てしまえば、ふと千冬は顔だけこちらに向けた。
千冬「……名前…!?」
千冬は私の顔を見るなり、すごく驚いたような表情を浮かべ慌てて商品を棚へと戻した。
……待って、気まずい。
めちゃくちゃ気まずい。
いや、ここは何も見てないってことにしよ…
あくまでも自然に……!!!
『え、あ……こ、こんにちは』
…いやいやいやいや、下手か!!!!!
不自然すぎるだろう私!!!
大人だよね?もっとスマートにいかないと…
私の不自然な挨拶に千冬は目を逸らし、変な汗をかいていると共に少し顔を赤くしていた。
『千冬、か、買い物…?』
千冬「え、あ…いや…別に……」
目を合わせようとしない千冬を見れば、なんかごめんね…なんて気持ちになる。
今の子はそうゆう行為するのも早いイメージあるけど……千冬って彼女いたのか…まぁ居るよね…言わないだけで居るんよほんと。
……いや待てよ。
彼女居るのに私…千冬になんてことを…!
お詫びって何したらいい?え?わかんない。
あれ、これ切腹案件じゃない?
やばいやばいやばい…彼女に刺される前になんとか手を打たなくては……
『あの、千冬?この間のお詫びと言ってはなんだけど……何か欲しいものとか…ある?』
最低な奴だ私は……
汚い大人になってしまったな…まじで。
そんな事を考えていれば、千冬は首を傾げながらこちらを見てきた。