第19章 甘えること
寝ていても分かる、鼻を抜ける卵焼きの匂いに私の意識はゆっくりと覚めてくる。
あぁ…寝起きに朝ご飯の匂いが漂ってくる世界いいなぁ……毎日そうだったらどれだけ幸せな事だろう…
朝ご飯のいい匂いに包まれながら、夢から覚めるか覚めないかの瀬戸際でそんなことを考えていれば、頭上から声が聞こえた。
ドラケン「とっとと起きろー、ねぼすけ」
『ん……んん』
心地よい眠りの中、現実に呼び戻される声の正体はドラケンくんだった。
私は眠くて重たい瞼を開ければゆっくりと起き上がった。
『ふぁ〜……ねむ』
ドラケン「はよ」
『ん…おはよ』
ドラケン「寝癖すげぇな」
『んん…』
ドラケン「…どんだけ眠いんだよお前。顔洗ってこい」
『うん…顔洗ってくるね』
眠気が強くてボーッとしつつも、洗面所を借りて顔を洗おうと立ち上がり洗面所に向かった。
洗面所に来れば鏡に映る自分のボサボサな髪とだらしない寝起きの顔を見てげっそりしてしまう。
眠くて気にしてなかったけど、この状態を人に晒すってヤバいよね……うん、ヤバいよ。
ドン引きされてたらどうしよう……
寝起きも可愛い女子ってどんな生活してんの…
そんなこと思いながら水を出せば顔を洗い、寝癖を軽く直した。
何とか人の形まで容姿を戻せば、ドラケンくん達の元に戻る。
テーブルの上には健康的な朝ご飯が並んでいた。
三ツ谷「おはよ」
『あ。おはよ、三ツ谷くん。2人とも早いんだね…』
ドラケン「今日は朝から東卍の集会だからよ」
また集会…君たち集会好きだね…
集会と言えばあんまりいいイメージがない私はつい苦笑いを浮かべる。
『…集会頑張ってね』
三ツ谷「おう、サンキュ」
三ツ谷くんとドラケンくんは集会に誘ってこないから本当にありがたいし助かる本当。
そう思いながら用意された朝ご飯を皆で食べ始めた。