第16章 会いたくない人
後頭部を押さえられながら、空いている方の手を背中から腰に下ろしてくるイザナくん。
くすぐったいような感覚に反射的にビクッと身体を反応させてしまう。
頭に酸素が回らない感覚と、逆上せたような感覚にだんだん目が回ってしまえば異変に気付いたイザナくんは唇を離した。
イザナ「…もうバテたのか、耐久無さすぎ」
『うっ…ごめん……めちゃくちゃクラクラする……』
イザナ「…じゃあもっとクラクラすれば?」
湯気で曇った視界の中にニヤッとした笑みを浮かべるイザナくん。
再び腰を抱き寄せられれば、私の首筋から胸元にかけて何度もキスを落としてくる。
『ちょっ、イザナくっ……』
イザナ「ん…敏感…」
耳の辺りから首筋にかけて舌を這わされ、タオルの上からお尻を撫でられる。
恥ずかしさとイザナくんの熱い視線に更にクラクラしてしまう。
『イザナくん…むりっ…』
イザナ「もっと…」
もっともっと…と必要以上に求めてくるイザナくん。
その甘い雰囲気に耐えきれず、私は目を回しイザナくんの方に身体を預けた。
イザナ「は?…名前?」
『…あ〜…逆上せた……』
イザナ「…はぁ…もう終わりかよ……、しかたねぇか…ほら、出るから」
『ん…ごめん……』
立てなくなった私を、イザナくんはそのまま抱えてはお風呂から出た。
イザナ「……寝た?」
『………』
イザナ「あれだけでくたばるとか…初心かよ…。もっと汚したいなぁ…」
その言葉は名前には届かずに空気と共に消え去った。