第16章 会いたくない人
蘭「本当はオレたち初対面じゃないんだよね」
『えっ?』
蘭「この間名前と女の子が路上で喧嘩してるの見つけて、名前が一方的に叩かれてたからオレらが助けてやったんだよ。な?竜胆」
竜胆「…?あ、あぁ…そうだった」
何を言い出すのかと思えば、喧嘩してるところを助けてやったなんて言い出す蘭ちゃん。
助けてやったのはこっちなんですけど!?
竜ちゃんも見て…困惑しちゃってるじゃん…え?
もう蘭ちゃん殴っていいかな?いいよね?
そんなことを内心思いながらフツフツと怒りが込み上げてくれば、イザナくんは蘭ちゃんの言葉を鵜呑みにしたのか私の頭をポンっと撫でた。
イザナ『お前も意外とヤンチャなんだな』
…違う違う違う違う。
違うよ!?!?!?!?
『いや、私はそんなっ…!』
その様子に面白いのか蘭ちゃんは笑いを堪えている。
お前、まじで……。
殴りたい衝動を抑えつつ、飲み物くらいは出そうと私は立ち上がりキッチンに向かう。
ついでにイザナくんから貰ったイチゴのタルトもクリームが溶ける前に冷蔵庫に入れた。
自分の分と、4人分の飲み物を用意すればすぐにテーブルに運んだ。
イザナくん、鶴蝶くん、竜ちゃんにはオレンジジュース。
自分にはコーヒー、そして蘭ちゃんには水を出した。
『何もないけど…どうぞ』
鶴蝶「悪いな」
蘭「…オレだけ間違えてるけど?」
『間違えてません。心に手を当てて色々考えたら…飲み物にも色がつくんじゃないかな?』
蘭「お前…覚えとけよ」
私は蘭ちゃんの言葉を無視しつつコーヒーを飲む。
すると、再び家のインターフォンが鳴った。