第16章 会いたくない人
蘭「オレも犬欲しいな」
そんなことを言いながらこちらを見てくる蘭ちゃん。
……金か?犬を飼うから金を出せと言うのか?
まさかそんな…ね?
『…なんでこっちみてんの…?』
蘭「オレにも懐いてよ」
『…………………はい?』
私は蘭ちゃんの言葉に瞬きを繰り返す。
何を言ってるんだろうこの子は。
私は犬じゃないんですけど???
すると、イザナくんは私の肩を抱いてくる。
イザナ「オレ専用の犬だから、お前らには懐かねぇよ」
『…いや、イザナくんの犬になったわけでもないんですけど…』
イザナ「犬じゃ不満?」
『いや、不満ってゆうか…なんとゆうか…』
犬って言われて喜ぶ人なんているのかな…
まぁイザナくんがそれで満足ならそれでいいけど、蘭ちゃんに犬って言われるとなんかイラつく。
前回酷い目に合わされたし。
イザナ「……そう言えば」
イザナくんは私の顔を見れば何かを思い出したかのような顔をした。
イザナ「その頬どうした」
『……頬…、あ、これ…!?これは……』
千冬に手当してもらった頬に手を当てれば、なんて言い訳しようかななんて思いつつ、目の前に原因の種の張本人が居たため、私はつい蘭ちゃんを軽く睨みつける。
すると、蘭ちゃんは動じることなく軽く笑みを浮かべている。
イザナ「誰かにやられた…?」
『あ、いや…やられたというか…その…』
蘭ちゃんの彼女に殴られたなんて言える訳もなく、なんて言い訳をすればいいか困っていれば、蘭ちゃんがゆっくりと口を開いた。