第16章 会いたくない人
?「アレ…お前、ケンの彼女」
奥から出てきた人物は、この間ドラケンくんと映画に行った時、街中でぶつかったマイキーくんに似た人だった。
『あ…この前の…』
?「どーも。この間は悪かったな」
『い、いえ…!こちらこそすみません。……えっと…このお店って…』
?「あぁ、オレの店。そう言えば名前言ってなかったよな?オレは佐野真一郎。お前は?」
『あ、苗字名前です…』
名前を名乗れば、笑みを浮かべたまま私の頭を優しく撫でてくる真一郎さん。
撫でられたことにびっくりしつつ、何だか照れくさくて少し俯いた。
真一郎「名前な。ケン、可愛い彼女じゃん」
『あ、いや、私彼女とかでは……』
真一郎「えっ、違うのか?」
『はい、お友達というか…なんとゆうか……弟みたいな…感じといいますか……』
ドラケンくんとの関係を説明するにもなんと言ったらいいのか分からずにとりあえず弟みたいな感じだと伝えれば、真一郎さんは少し驚いたような顔をした。
真一郎「弟?同級生かと思ったけど違うのか?」
何を言い出すのかと思えば、ドラケンくんと私が同級生に見えたのだと言ってくる彼。
私そんなに若く見えるか…?
いやいや、それは無いでしょ…!!
ドラケンくんがイケメンで大人っぽいからそう思われたに違いない、きっとそう……でも若く見られるってやっぱり嬉しいよね…
嬉しさに自然と笑みを零せば、ドラケンくんに顔を覗き込まれる。
ドラケン「何ニヤついてんだよ…」
『へ?あ、ごめんごめん…つい』
真一郎「お前可愛いな」
『なっ…、や、やめてくださいよ〜…そんな…』
今まで可愛いなんて全然言われたことがないせいか、その何気ない言葉に私の調子が狂わされる。
その様子を見ていたドラケンは何処か不満げな表情を浮かべていた。