第16章 会いたくない人
千冬の手当をした後、軽く話してから私は千冬の家を出た。
玄関まで見送ってくれる千冬はやっぱり優しい子だ…なんて思いながら薄暗い帰り道を歩く。
今日は帰り道が違うからなんか新鮮な気分。
そんなことを思いながら家までの帰り道を歩いていれば、前方にお店の明かりが見えた。
『こんな所にお店なんてあるんだ…』
なんのお店なんだろう…なんて近くに来ればつい看板を見てしまう。
するとそこには、バイクが沢山並んでいて看板にもバイクと書いてあった。
バイク…のお店?
…絶対マイキーくん達好きだよね…バイク乗ってるし。
そんなことを思いつつ、自分はバイクにはあまり詳しくないのでそのまま素通りしようと思えば、開いていたドアから聞き慣れた声で呼び止められた。
ドラケン「お、名前じゃねぇか。今帰りか?」
『……えっ?ドラケンくん?』
声をかけてきたのはドラケンくんだった。
バイク好きそうって思ってたら本人いた…
いや、バイク屋なんて沢山あるのにココって…奇遇すぎない?
そんなことを思いながらも私は足を止めてバイク屋の入口へと近寄った。
『ドラケンくんこんばんは』
ドラケン「おう。…って、なんだその格好」
サイズの合っていない服を見ればドラケンくんは不思議そうな表情を浮かべた。
『あぁ…これは雨に打たれて濡れちゃったから場地くんが貸してくれたんだよ』
ドラケン「ンな格好で外歩くな…お前は」
『えっ、そんなに変…!?』
ドラケン「いや、変っつーか…」
ドラケンくんは私の頭の先からつま先までまじまじと見てくる。
いや、そんなに見なくても…………
そんなやり取りをしていれば、お店の奥から一人の男の人が出てきた。