第15章 思春期男子
『千冬も撫でてほしいの?』
千冬「は、はぁ!?バッ…ちげぇよ…撫でられて喜ぶほど子供じゃねぇ…」
少し照れたように顔をふいっと逸らしてしまう千冬。
その姿が可愛くて私は手を伸ばして千冬の頭を優しく撫でた。
『千冬もいい子だよ』
千冬「っ…やめろって…子供扱いすんなよな…」
千冬は子供扱いされたと思ったのか少しムスッとしながらこちらを軽く睨んでくる。
いや、それが可愛いんですよ千冬ちゃん…
可愛さに溢れ出る感情を押し殺していれば、千冬は私の手を掴んでそのままグッと顔を近づけてくる。
『へ…?』
千冬「次子供扱いしたら…さっきの続きするからな…オレだって、男なんだからさ」
『…………』
……千冬、しんど……
その発言は私のことを女としてみてくれてるってことですか?え?だよね?
は…無理……女扱いされたのっていつぶり?
尊すぎてしんどいです…千冬さん。
千冬「…おい、聞いてんのかよ…」
『あっ、ごめんごめん…!聞いてる!』
千冬「………オレ…お前じゃなきゃ……」
そう言って私の頬に手を添え、唇を近付けられる。
またキスされると思い、ペケJも抱いているため特に抵抗はせず私は自然と目を閉じた。
「ニャー!」
千冬「いっだ!!!!!」
ペケJの鳴き声と共に千冬の叫び声が聞こえ、私はゆっくりと目を開けば、目の前に頬から顎にかけて血を流す千冬の姿が目に映った。
『………………えっ!?ち、千冬!?どうした!?』
千冬「いってぇ…ペケJにやられた……」
『えっ、こんなに大人しいのに…』
千冬「滅多にこんな事はねぇけど…」
千冬は傷口を手で触りつつ、痛そうに顔を歪めている。
『あ、傷口触ったらバイ菌入るよ…!』
私は慌ててペケJをベッドの上にそっと下ろせば、先程千冬が持ってきた救急箱を借りて消毒液を取り出す。
『これ借りるね?』
千冬「別にほっとけば治るって…」
『ダメだよ、じっとしてて』
私は千冬の傷口を消毒して軽い手当をした。