第15章 思春期男子
…嫌われてないことへの喜びで、何も気にせずに千冬の部屋まで来たちゃったけど……親いないからってなにかの誘い文句だよね?
…って、ドラマやアニメの見すぎか。
そんな事を思いつつ私はつい千冬の部屋を見渡してしまう。
千冬「そんなに見たって何もねぇって」
『あっ…ご、ごめん…つい』
千冬「別にいいけど…。つか、その顔どうした?なんか腫れてっけど」
千冬は私の顔を覗き込みながら首を傾げる。
場地くんとか一虎に何も言われなかったから忘れてたけど…まだ腫れてるのか顔……
『これは…その、色々ありまして…』
千冬「話してみ」
『いや、でも…話すと長くなるし…』
千冬「平気だって。時間なら全然あるし」
千冬の快く受け入れてくれる為、私は溜まってた話を洗いざらし千冬に話した。
『ってことがありまして…』
千冬「それは災難だったな。つか、手当したのか?腫れ引いてねぇけど」
『ほっとけばその内引くかなぁって思って…』
千冬「引くわけねぇだろ?ちょっと待ってろ」
そう言って千冬は立ち上がり部屋を出ていってしまった。
部屋に取り残された私はふぅっと息を吐いた。
千冬に話したら何だか気持ちがスッキリしたかも…やっぱり千冬は優しくて可愛くてかっこよくて女神だ……
千冬へのありがたみを噛み締めていれば、千冬は救急箱を手に部屋に戻ってきた。
千冬「湿布とか貼った方がいいかもな。そっちの方が腫れ引くと思うし」
そう言って救急箱から湿布を取り出せば、頬に貼れるサイズにハサミで切っては私の頬に貼り付け、剥がれないように紙テープで補強をしてくれた。
『冷た…』
千冬「我慢しろっ」
『千冬…ありがとね?気分もスッキリした』
千冬「それは良かった。…で?その唇の傷はどうしたんだ?」
『えっ…!?あ、いや、これは…その……諸事情がありまして…』
噛まれたとか言えない…誰とでもキスするようなビッチに思われたくない…!千冬にだけは…!!!
信用失いたくないよね…そうだよね?
私は何も言えずに目を泳がせた。