第14章 生憎の雨
場地「先食うか?」
割り箸をこちらに差し出しながらそう聞いてくる場地くん。
とりあえず割り箸を受け取るものの…今なんか食べる気分じゃないんだよなぁ……でも断ったらなんか変に思われるよね…?
ひとまず場地くんに先食べてもらおう。
『私の事は気にしなくていいから、場地くん先に食べて?』
場地「んじゃ先食うワ」
そう言って美味しそうにペヤングを食べる場地くん。
そんな場地くんを見ている私をガン見してくる一虎。
いや、めちゃくちゃ視線が痛いんですけど……
すると、場地くんがいきなり変なことを言ってくる。
場地「お前ら…唇の傷お揃いだな、それ」
『えっ…』
場地くんの言葉に私は数回瞬きをする。
確かに自分にも噛まれた傷があった…と思い出し、一虎の方を見れば何故か目をキラキラさせていた。なぜ。
『私は…その…転んだってゆうか…』
場地「は?怪我の仕方まで同じかよお前ら」
『えっ!?』
場地「一虎もさっき転んだとか言ってたよな」
『……そ、そうだっけ?…あはは……』
もう笑って誤魔化すしかない。
何も言うことは無い。これ以上喋ったらダメな気がする。
そう思っているうちに場地くんはペヤングを半分食べ終われば私に差し出してきた。
場地「ほらよ」
『あ、ありがとう…いただきます…』
一人勝手に気まずくなっていれば、一虎が何か言いたげにこちらを見ていた。
なんだよ…ほんと…アンタのせいだからね一虎め……
私は一虎の顔を見れば眉間にシワを寄せて軽く睨んだ。
特に食欲は無いものの、食べないと不快にさせちゃうかなと思い私は一口ペヤングを食べた。
一虎「ねぇ、オレも食べたい」
ペヤングを見ながらそんなことを言ってくる一虎。
お腹すいてないしちょうどいいや…一虎にあげよ
『ん、いいよ…食べな』
私はペヤングを一虎に差し出すも受け取る気配はない。
いや、なんで???
『……一虎?食べな?』
一虎「名前に食べさせて欲しい」
『………は?』